税のコラム
振替納税のご案内
平成29年分の確定申告の業務が終わりました。振替納税を利用されている方の納期限は、所得税が4月20日金曜日、消費税が4月25日水曜日です。当日銀行口座に残高がないと、本来の納期限(所得税は3月15日、消費税は4月2日)に遡って滞納にされてしまいます。延滞税が発生することもありますのでご注意下さい。
税務署の事務年度
一般的な「年度」と言うと、日本では4月から3月ですが、税務署の「事務年度」は少し違っていて、7月から6月になっています。通常の「年度」が終わった後、色々と事後処理が必要なのでしょう。
そのため、税務署の職員の異動も7月に行われます。結構頻繁に異動は行われていて、1年で別の税務署へ移ってしまう職員も少なくありません。こうした異動や引継ぎが行われるので、7月は税務署もドタバタしていますが、落ち着いてくると、調査が始まったり、税務申告の内容について質問が来たりします。
元税務署の職員によると、事務年度最初の調査は気合いが入るそうです。この時期に税務調査が行われるのは、12月から2月決算の法人が多いようですが、相続税の調査も行われます。「迎え撃つ」立場の納税者や税理士も、万全の準備をしたいものですね。
法人税と消費税の関連性
最近は、法人税の税率が徐々に下がって行く傾向にあります。
法人税が下がっていくと、会社に使えるお金が多くなるので、会社の経営が安定しますし、社員への給与を増やすこともできるので、結果的に世の中に多くお金を回すことが出来ます。
ただし法人税は、大きく利益を出している大企業が最も多く負担する税金ですので、大企業に対しての優遇の策であるという見方もあります。
しかし、景気や経済を良くするためにも、法人税の減税は進めて行くべきでしょうし、優秀な企業が、税金の安い海外に流出してしまうことも防がなければなりません。
法人税を安くしてしまうと、結果的に税金として国に入るお金が少なくなるので、少なくなった税金を、他の税金でカバーすることになります。
その役割を担う税金が、国民が納めている消費税です。税率が8%に上がっただけでも、かなり大きな負担を感じますが、こうした法人税の減収分の補完、莫大な国債の償還、そして増大する社会保障費の負担をするために、消費税はますます重要になるものと思われます。
相続税や贈与税の節税の基礎的な手法
相続税を節税するためには、現在持っている財産を減らすことが効率的ですが、相続をする前に生前の贈与を行って、所有している財産を相続人などに移す方法が、基礎的な手法として知られています。
相続税の前段階とも言うべき贈与税については、個人が1年間に贈与を受けた資産の合計額で税額が決まります。
贈与税については、基礎控除という仕組みがあって、現在の税法では110万円が設定されています。1年間に贈与を受けた資産の合計額(例えば、父、母、祖母から受けた贈与の合計額)が110万円までならば、1円たりとも贈与税を支払わずに済むという事です。
仮に20年間、一年毎に110万円を受け取ったとすると、総額にしたら2,200万円の資産の贈与を、贈与税を支払わずに受けることができます。このように、一年ごとに110万円に満たさない贈与をするよう工夫することで、贈与税を払わないで済むという手法です。
贈与税については、受け取る人の単位でも贈与税を支払わず贈与することができます。例えば、基礎控除の限度額の110万円分を3人で受け取ったとすると、総額の330万円が基礎控除額以下になり、贈与税を支払わずに済みます。
以上の手法は、贈与税の原則的な課税方法に則った場合です。(暦年課税と言います。)相続時精算課税を選択した場合には、贈与税の計算方法は全く異なってきますので、注意が必要です。
相続税の増税と対処法
2015年の1月から相続税の税制が大きく変更されます。変更の内容を簡単に言えば、これまでの相続税が大増税されるということです。
この増税、実は団塊の世代の相続を狙ったものではないかと言われていて、この世代の人は、家や土地など高額な財産を所有している割合が高いそうです。また、団塊の世代は退職金や年金に恵まれている時代で生活をしてきているので、現金に換算して1億円以上のお金を貯金している割合が、すべての年齢層と比較して大きいそうです。団塊の世代は、家を承継する際に、多額の資産を子供に分与するのではないか、という考えから、国は財政の安定のために相続税の増税を考え始めたのです。
相続税の変更によって、これまで以上に相続税を課される人が多くなりますし、課される税金が高くなるのも確実ですから、自衛策として何らかの節税対策を行わなければならないでしょう。
増税の一方で、教育資金や住宅取得資金などの贈与に優遇措置が設けられていますから、これらを上手に活用することも必要です。
相続税と贈与税の意義
相続税は、親などが所有していた財産が子供などに引き継がれた際に、税法によって定められている一定の金額を国に納めなければならない税金です。
相続税では、現金だけではなく、土地や家屋、預貯金や有価証券など、様々な財産を相続する場合に税金がかかります。
親が持っていた財産のすべての評価額を算出し、これにかかる税額の合計額を計算して、所定の期間内に納めることが原則です。
相続税では、相続した財産の評価額の合計が多ければ多いほど、納める税金の額が大きくなりますし、累進の課税の原則に則って、多くの財産を相続した人は、より高い税率も適用されるようになります。
相続税と関連した税金では、贈与税という税金があります。
贈与税とは、相続税を補完する目的で設けられた税金で、生前に財産を贈与することによって、相続税の課税を免れる事を防ぐようになっています。税率も相続税より高くなっていることが特徴です。近年では、様々な政策的配慮により、この贈与税を軽減する特例制度も設けられています。
世にも珍しい独身税に関して
税金に関して思い浮かべる種類といえば、所得税や相続税や消費税などです。
しかし、ブルガリアでは世にも珍しい種類の税金がありました。少子化対策のために独身である人を対象に税金をかける、独身税という税金で、実際に制定して、施行していた時期がありました。独身者の収入の5パーセントから10パーセントを目処にして徴収し、国の財政の安定や出生率の増加を図っていたそうです。
このブルガリアの独身税は十年かけて施行されていましたが、結婚の件数の増加が見込めないことと、世論の反発が出たことによって廃止されました。
日本でも戦前から戦争の直後にかけて、独身の人に税金をかける施策を行っていた時期がありましたが、廃止されました。
独身税については、日本でも賛否両論がありますが、あくまでも結婚に関わる事項で憲法に抵触してしまうので、少子化が真剣な社会問題になっている現状でも、今後独身税が導入されることはなさそうです。